「もうさ、うれしくないわけじゃないけど、教室のどまんなかでああいうこというのはやめてよ」
怒った顔もかわいいボクちゃんのカノジョ。
「うん、わかった!」
「あとさ、その変な髪形とか制服の着方とか、ほんと前に戻したほうがいいと思うよ?」
「うんうん」
「勉強はわたしが教えられる教科は見てあげるから、がんばろうね」
「うん、がんばる!」
「……あと哲平がなんかあることないこといろいろ吹き込んでたみたいだけど、ちょっとした悪戯心だっていうから
許してやって」
「いいよ!ミカちゃんの頼みなら許しちゃう!」
俺の返事に実花が苦笑する。
「もう湯江ってば、『うん』ばっかだね」
「だってさ、俺ってミカちゃんのためならプライドなんていくらでもポイしてなんでも『うん』って言えちゃえるからさ、つかむしろそれが俺のプライドみたいな?」
実花がなにそれ、といって笑い出す。
「でもミカちゃんはそいういう男は嫌いでしょーか?」
その問いに、実花は立ち止まって俺の方に振り向くと、
ちょっと背伸びして唇をちょん、とくっつけてきた。
「……全然。でもちょっとくらい自分の意見持ってて欲しいかなとは思うけど」
顔をあかくする実花。
やっぱかわいい、最高。
やわらかなくちびる最高。
好きな子とするキス最高!
「ミカちゃん、俺絶対しあわせにします!」
恋って最高。
実花ちゃんしあわせにするぞって思っただけで俺は世界一のしあわせ者になれました!
<おしまい>


