プライド捨てて愛に生きますけど、それがなにか?


(エピローグ)愛にいきます



「やーやー諸君。チミたちは今日も男同士で昼飯ですか」


三馬鹿から呪い殺さんばかりの邪眼を向けられるが、今日の俺は痛くも痒くもない。しあわせって無敵だね☆


「哀れだねー、16歳っちゅう人生一度の花のアオハル時代を野郎同士肩寄せ合って飯を食うだけで終わらせるなんて。同情を禁じえませんなー、将来黒歴史にするしかない高校時代を肩寄せあって過ごすなんて、勇者ですかチミたちは」


広田が冷めた目で俺の背後にいる実花を見る。


「佐藤頭大丈夫か?おまえほんとうにこんなんでいいのか?顔だけだぞ、こいつの取り得」
「くぉら広田ァッ、てめぇ俺の馬鹿はともかく俺のカノジョにケチつけるとはどういう了見だ、この嫌味お姑野郎がっ」


広田に掴みかかろうとすると、

「ちょっと湯江やめてよ」

と実花が俺の背中をつんつん引っ張って止めてくる。


ああ、これ。このつんつん、付き合ってるっぽい。
俺やっぱつきあってるみたいですよ、夢じゃなくてリアルに実花と!!


俺が思わずえへえへしてると、三馬鹿どもが実花にいらん忠言してくる。



「なあ佐藤今なら間に合うって」
「とっとと別れちまえよ。時間が経つと言い難くなるぞ」
「魔が差しただけって言えや大丈夫だからさ」



おいおい俺は押し売りされた訪問販売の布団かなんかか?


「ひがみは結構ですんで!ほら見ろこれ。ミカちゃんが俺のために作ってきてくれた手作り弁当~」
「もうやめてよ、冷凍食品とかも入ってるし、そんな自慢できるようなもんじゃないんだってば」

「つっても痩せちゃった俺心配してわざわざ作ってくれたんだぜ、ほらちょっといびつなおにぎりに愛感じるだろ、料理ちょい苦手なのにそれでも一生懸命つくってくれたという、とてつもない愛が詰まってるのがおまえらでも分かるだろ?どうよこれ」




「……やってらんね」
「別れちまえ」
「佐藤。こいつおまえのこと好きすぎてまじキモくね?」


「うん、でもまあわたしも湯江好きだから」



馬鹿みたいに口ぽかん顔になる三馬鹿、そして俺。

あああ、さすがにこれは不意打ち。痺れる、泣きそう、この感動は今すぐ伝えるべきだ。



「ミカちゃん、」

なあに?と実花はかわいらしく振り向いてくる。


「あいしてます。俺と結婚してください!!」