「………」

なんだかすごく見られている。

気まずい。

だけど…
嫌じゃ、ない。

いつの間にか、肩からその手は離れて、私の髪に触れていた。

それすらも、嫌じゃなかった。

不思議。
不思議。

男の人が嫌いってわけじゃないけど、好きでもなく、むしろ苦手。

なのに。
この人は大丈夫、なのかもしれない。

一応身内だからかな。

不思議な安堵感に包まれた。

髪は、その人の細長くて綺麗な指で、元通りになった。

「あ……」

その先が言いたいのに、言えない。

でも、その人は笑った。

「うん」

そう言って、笑った。