始業式だから、普段より帰りが少し早いだけで、日はまだ高い。 忘れ物、忘れ物。 忘れ物、というより。 「………」 探し物? それも、見つかるかわからないし、何を探せばいいのか。 今考えれば、見たこともないのに探すなんて無謀だった。 私は足を止めた。 目を、少し凝らして見る。 だれか、いる気がして。 少しだけ長い、廊下の向こう。 人影が見えた。