「祈ちゃん、喋るようになったよね」 「そうね。 それもまぁ、私達の前くらいだけど」 「それってなんか、優越感ってやつ感じるね!」 「ふふ、そうね」 朝、私が結んだ温かい日の光のようなその髪を揺らして、校舎に戻る祈。 その後ろ姿は、あの頃よりは少し大人になったのかな、なんて。 親みたいなことを思って見たりする自分に少し、笑えた。 でも、私も、瑞希と一緒で。 優越感に浸ってたんだ。 私達が、あの子の一番なんだ、って。