その翌日のことである。
俺の前に早々と次なる立候補が躍り出た。
「わたしと付き合ってほしいんだけど」
その人は匡のひとつ上の学年の先輩だった。
ひときわ短いスカートからのぞく細い脚が色っぽいというよりもただただ寒々しい。
ミルクティーのようなあまい色の縦ロールに、明らかに長すぎなまつ毛。師走だというのにたくましくふたつ目まで開けたボタンから窺える眺めではさしたるバストは期待できない。
委員会に属さず、それも男子運動部の俺に、先輩で、まして女の知り合いがいるなんて……と自分でも思うが、それはまかり間違っても俺から近づいたのではない。
不本意にも記憶に残っているのは、ランニングのときや登下校のとき、見つかるとなにかと声をかけてくる、俺らの周りでは有名なすずめだったからだ。
いつも玄関のあたりにたむろしているひときわ声のでかい集団の一人である。

