まだあなたが好きみたい




「でも、いいの? わたしなんかにかまってて」

「なにが?」


二人は白銀の世界を抜け出して、神社から一番近いファストフード店の一席に向かい合って座っていた。


「だって、あなたにまだ想いを寄せてる子がいるんじゃない?」

「は? 誰?」

「黒猫を持ってた子。あれ、あなたがあげたんじゃないの? それともあのあと別れたの?」

「なんでおまえがそれを?」


驚いたように窪川は目を見開いた。


「この前、見かけた……っていうか、よそ見しててぶつかったっていうか。その人があなたと電話してたから、もしかしてと思って」


窪川は暫し思案顔になると、


「ああ……あれはな、盗まれたんだよ」

「盗まれた?」