まだあなたが好きみたい


思い出して菜々子はまたふるえた。


「おまえってさ、ほんとに有正第一なんだな」

「それが?」

「いや……ただ、それで男が寄ってくるものかと思ってさ」

「失礼じゃない? これでもそれなりに告白されてるほうだと思うけど」

「ええっ!」

「……なによ。嘘じゃないわよ」


恨めしげに見られて、窪川はますます青ざめた。


「お、おまえ、そんなにモテんの?」

「そんなにの基準がわからないけど、わたしには十分なくらいではあるかしら。それがなにか?」


そのとき、藪から棒に窪川に手をつかまれ、菜々子は反射的にそれを振り払った。

しかし負けじとまた掴まれる。

当然のごとく腕を振ろうとして、


「俺!」


窪川が言った。


「俺、おまえのことが――」