数ヶ月ぶりに訪れた彼女の部屋はカーペットが冬仕様になったくらいで、それ以外は前とほとんど同じままだった。
合図をして部屋に入るなり、いきなりなにかが突進してきて、匡の胸を圧迫した。
そのままぎゅっと抱きつかれ人間だと理解する。
匡はほっと息をついて、そのまま後ろ手にドアを閉めた。
「会いたかった……!」
ベッドに座らせてからも、睦美は頑として匡を離さない。
それが哀れで、匡は仕方なくふるえる背中に腕を添えた。
「なら、どうしてすぐ呼ばなかった?」
「幻滅されてると思って」
深くかぶったパーカーのフードの下から、睦美は恐る恐るそう言った。
「窪川だってもうわたしに関わりたくなかったでしょ? だから……」
一人で耐えようとした。
けれど先日尾田から久しぶりに連絡があり、匡を頼ってみたら? と背中を押された。あいつには言っておくからさ、と。
それでも睦美ははじめのうちは我慢した。
けれど現状、助けを求められるのは匡以外いない。
そもそも追い詰められているところへ尾田にまた優しく声をかけてもらえたことで、決意にほころびができてしまった。
「窪川ならきっと力になってくれる」と言われたことを真に受けて、すがってしまった。
「ごめんね……」
「それでよかったんだよ」
「でも」
「あんとき聞いた話なんか、もう忘れた」
「うそ」
「覚えてても、俺にどうしろって言うんだよ」
匡は睦美のフードを取った――取ろうとして慌てて押さえられるも、匡は強いてそれを外した。

