まだあなたが好きみたい




それから数日後。

匡は睦美に呼び出され、彼女の実家を訪れていた。

部活を終えてからだったので当然7時をゆうに回っていたが、おどろいたことに一階には両親のほか、担任の姿があった。

もちろん示し合わせたわけではない。

そんなことをすれば余計な詮索が入って、タイマンで話したいはずの睦美の気を挫いてしまう。

だからこそ間の悪い遭遇に匡は唸った。

睦美が休み始めてから頻繁に様子を見に来ているらしいという噂は聞いていたけれど、まさかこの時間にいるとは思わなかった。

案の定、担任は抜け目なく、匡を、強引に睦美との接触の切り口にしようとした。

それをかわして、匡は二階に上がった。

正直、別れた彼女の両親に顔を合わせるのはお互い気持ちのいいものではなかったけれど、もはや打つ手のない娘に対し、藁にもすがりたい思いなのだろうということは二人の表情から痛いほど汲み取れた。