まだあなたが好きみたい


何気なく問うと、尾田は見るからにうろたえた。

匡は首を傾げる。


「なんだよ」

「えっ、いや、ほら、それはその……そう! ちょっとしたやきもち! やきもちよ、そう。……睦美がやけにねちっこく絡んできたから、ついかっとね。そしたら向こうも火がついちゃって」


有正のことか。

今の尾田のリアクションを見て匡は即座にぴんときた。

あくまで推測に過ぎないが、睦美はたぶん、尾田に彼氏ができたことがうらやましかったんじゃないだろうか。

それでつい感情的になってしまったのだ。

有正の件で匡を謀ったことを思い出し、ばつが悪くなったのだろう、尾田は俯いてため息をついた。


「なんだっていいだろ。けどまあ、なんだ、結局さ、おまえから連絡取るのが俺は一番いいと思うぜ」

「なんでよ」

「おいおい。おまえはそうなんですぐつっかかんだよ」

「つっかかってなんかないわよ」


その言い方がもうつっかかってんだよ。


「わかったよ。つまりだな、おまえのほうがなんだかんだ言ってそのへん器用そうだからだろ。睦美はあれでけっこう内気なとこもあるからな。まあもちろん今さら先に謝れるかっつー意地もあるかもしんねーけど、それよか、もう何を言っても仲直りなんかできっこねぇって、嘆いてるほうが強ぇかもな、あいつの場合」


ああ、と尾田は同感の意を示す。