まだあなたが好きみたい


「そうだよね」

「おまえこそ知らないのかよ」

「なんで?」

「仲良かっただろ」


すると、彼女は俺よりもうちょっと人情らしい表情を浮かべて、うん、と頼りない声を洩らした。


「……そうなんだけどさ、わかんないよ。喧嘩してたし。だからかな、睦美も遠慮してわたしに全然頼って来ないんだ」

「おまえから連絡取ってねーの?」

「……うん」


尾田は眉を下げた。

おいおい、と匡はうろたえる。ここで落ち込むかよ。彼氏に見られたらどうすんだ。


「責めてねーから」

「わかってるよ。なんかさ、意地になっちゃって、引っ込みつかないんだよね。どうやって前みたく接したらいいか、携帯持った途端にわかんなくなんの」


尾田は自嘲するように苦笑を浮かべた。


「普通に、元気? とかでいいんじゃねぇの、とっかかりなんて」

「でもその普通が一番難しいんじゃん。それに、ちょっとはわたしも反省するとこあるけど、こんなふうにしたのは結局睦美だし」

「てかおまえら、何が原因で喧嘩したわけ」

「えっ」