ましてその内容というのが、
『詳しくはわたしにもわからない』
ときた。
『中学のときのことを噂されたくなかったら有正を貸せって。わたしからなら言うことを聞くだろうって持ちかけられたの』
いざとなると正義感の強い彼女のことだ、なにをされるかもわからないことを頼むのに並々ならぬ勇気が要っただろうことは想像に難くない。
ましてこれは、有正の取りようによっては、幼馴染を売る行為だ。
だが有正はこれを二つ返事で引き受けた。
『わかった。行くよぼく』
そして先日、菜々ちゃんに言われた場所で眼鏡の男と落ち合うと、有正はそこで思いがけない名前を聞いた。
『君にはそいつを俺の元に連れてくる手引きをして欲しいんだ』
ね、簡単だろう?
「ねえ、今日のシフトって何時まで?」

