「遊びにまで影響するなんて、一貫してるのね」

「泳いでるのが心底すきみたいなんだよな」

「だったらジムに連れてってあげたら? 屋内プールなら競泳用の大きいプールだってあるでしょ? あ、でもふたりともスイミングスクールに通ってるか」

「あー、うん。今は通ってる。冬場で学校が使えないときは割安にしてくれるって良心的なジムがあってさ」

「じゃあ駄目か。うーん、なんなら喜ぶかね。甘いものは?」


近田の目の色が変わった。


「ありかもそれ」

「甘党かー。モテるポイントを押さえてるなー、さすが木野村。ギャップ萌えの基本だよね」

「有正はギャップにならないものね」

「あー、菜々ちゃん。それは、こ・れ」


有正は節に合わせて人差し指を口許にあてがった。

はいはい、と軽くあしらう。


「おまえらってほんと息ぴったりだよな」

「幼馴染だもの」

「菜々ちゃんはぼくのお姉ちゃんだからね」

「お姉ちゃんなのかよ」

「いざとなったら弟が身を挺してお姉ちゃんを守るっていうのがギャップとしては一番格好いいでしょ?」


それを本人の前で言うのか。

あざとい上に男気に欠けすぎている。


「ちなみにそれは誰にアピールするため? わたし?」


冗談めかして訊くと、有正はにんまりと笑った。