別に、物欲しそうな目をしてたつもりはなかったけど……。

俺はただ、おまえにこれを持って欲しくて、それなのに通じるどころかなんでって素朴に聞き返されたのが切なくて、だからすこし泣きそうな顔をしたような気はするけれど……。


完全なる誤解である。


そのうえ、これを送るに至った動機が親父へのお礼を考えた結果というのが余計に切ない。(ついでに、連絡先云々の報告も)


親父にあげるものが思い浮かばなかった代わりの、俺への気づかいのつもりなんだろう。


あいつが買ってくれたのだとしたら確かに何だって嬉しいけれど、そこに込められた理由や背景は完全に俺を無視している。


それが意図されたものならばと願う。


でもそうじゃない。


匡はふうと深く息を吐き出した。

彼女の心の中に、俺という存在はもう、いい意味にも悪い意味にも、顔見知り程度のものでしかないのかもしれない。


かつてのような、意識という名の手触りのある感覚で居場所を占めてはいないのだという証のように、文章の最後にはこうも記されていた。


これを最後に、もう二度とわたしには関わらないで。

それがわたしにもあなたにも、そしてあなたの家族のためでもあると、身に沁みてわかったから。


わたしも、軽率だった自分を恥じています。