カフェを後にし、二人のいるファンシーショップに戻ると、その人たちはすぐ見つかった。

男装がそもそもめずらしい上に、店先で何かを見つけたらしく、通路に面した籠の中を仲良く覗き込んで込んでいたのだ。


「わたしがいない間にずいぶん打ち解けてるじゃない」

「あっ、菜々ちゃん! どこ行ってたの? てかなに、打ち解けてる? 誰が? えっぼくら!? ちがうよちがうちがう。これだよ、これ」


有正が差し出したものは手のひらにすっぽり収まるサイズの動物マスコットだった。

タグには誕生日が記載されている。

365日対応のオンリーワンぬいぐるみシリーズ。ちなみにこのパンダは八月九日。


「日付によって全部ちがうんだよ。俺が先に見つけて覘いてたら、こいつが脇から混ざってきたんだ」

「菜々ちゃんの誕生日探したんだけど、なくって。一番近いので八月二十六日」

「……わたし、十月生まれなんだけど」

「偏ってるんだよね。でも窪川はちゃっかり自分の見つけてやがんの。それも二個」

「偏ってるわねー」

「いるか?」