言ったものを菜々子が取り上げると、窪川は指先にわかりやすく嫌悪を滲ませながらしぶしぶ受け取った。
「菜々ちゃんなにしてんのこんなとこで!」
猛然と有正が戻ってきたのはそんなときだ。
「あら有正、冷やかしは終わったの?」
「うん。それよりどうして菜々ちゃんがこいつと一緒にいるの? はなれてよ! しっしっ! 菜々ちゃんが汚れる!」
「人を害虫みたいに言うんじゃねぇ!」
「!」
と、凄んだ窪川の手に握られた、およそ彼の外見からは想像もつかないみっつの袋を目に留めて、有正はみるみる血の気を失った。
「な、ななななに持ってんのこのひとー! 正気!? うそでしょ。じつはそっち系なの!?」
「ちっげーよ! 頼まれたんだよ! 俺がこんなもん好き好んで買うと思うか!」
「だとしても君にそれを頼む? ないない。だって、ないじゃん。罰ゲーム? 君に? ないない。てことはやっぱりあれ? そう言って実は自分へのご褒美的な? うわー、ムリー、引くー」
「引くー」
「おまえも真似すんな」
たしなめられ、菜々子は憮然と口を曲げた。

