ケタケタ笑う窪川にムッとして、菜々子はぐっと手に力を込めた。

痛っ、と離されるかと思いきやなぜかまるで反応がない。

それどころか握りこんだことで余計な接し面が増え、菜々子より手のひらの大きい窪川にとってはかえって握りやすいという利点を提供してしまっただけのようだ。

菜々子は口惜しさと恥ずかしさで赤くなった顔をうつむけ、小刻みにふるえながら、結局は窪川に引かれるままついていった。


文字通り、ところ狭しと並べられた商品とその陳列棚。

そのあいだの申し訳程度の通路を占領する女の子たちで店内はカオスと化していた。


ここの中をかいくぐるのか、と窪川は青ざめていたが、目当ての福袋は通路にはみ出すカートの中に整然と収められていた。


「こっちだよ、ハゲ」

「ハゲてねぇ!」


二人は親子連れの中に混ざって、袋を探す。


「何のキャラクターがいいの?」

「ねずみとうさぎと星のきょうだい」


あんまりな言い方に菜々子はあんぐりと口を開けたが、隣の親子はくすくす忍び笑いを洩らしていた。