「後悔させない道を教えてやるよ。思い出作りなんて陳腐なもんよりもっと刺激的な記憶をてめぇの脳みそに焼きつけてやる。もっとも、おまえがどうしても仲間意識にこだわりたいってんなら別だけどな」


注意深い眼差しで白井は匡を見つめた。

匡もそれを見返す。


やつの俺を見る眼差しはそれとわかるほど日増しに悪質になっている。


それでも、これまでのように即座に否定して、汚物でも見るみたいに拒絶しないところを見る限り、まったく響いていないわけでもないらしい。


行けるなら、行けるところまで行ったほうが、面白い。


それは白井もそのはずだ。


だが彼は、チームプレイの重要性と、それに由来する根拠のない可能性という夢に縛られすぎている。


より高みを目指すなら、大事なのは、かつての夏原がそうだったような、ぬるま湯につかったままが正解のたのしいたのしい部活動ではなく、チームを殺さないため、ときには味方を裏切ることも厭わないようななりふりかまわずさをこそ磨いていかねばならない。


そのためには、俺や白井といった得点源が限りなく華やかに活躍することが、実は一番合理的なのだと思う。



「……俺におまえみたいになれって言うのか」