まだあなたが好きみたい


「だったら鍛えろ、おまえがな。今は、悪いがそうだと思うぞ。だから分が悪い。県内では通用するレベルじゃ、全然足りない。もっと、もっと圧倒的な戦力がほしい。そう期待されてるから、試合の後、監督に呼び出されたんだろ。俺に当り散らす前に、自分の役割をもっとよく考えたらどうだ。おまえは俺と同じ、点を取りにいくのが仕事なんだ。それなのにいちいちチーム優先で考えてバランスを大事にしてどうする。おまえに必要なのは他とは歴然とした能力だろ。周りの度肝を抜く技術とスピード。いいか、俺たちが精彩を放ってこそ、活かされてくるやつらがいるってことを忘れるな」


ああ、なんだこの感じ。

うまく言いくるめられそうになってる。このやろう。ムカツク。

でも、一番癇に障るのは、ムカツクのにやつの言い分に抗えないこと。

悔しい。

悔しい。

胸をかきむしりたくなる。

ああ、と白井は思った。

何がこんなに悔しいんだろう。



「俺があんまり周りを蔑ろにしてるって言うなら、来年からは改める。でも、だったらおまえも、てめぇの認識を変えることをこの場で誓え」


「あ?」


匡は白井へと首を捻った。