白井にとってはチームがすべてだ。
きれいごとだとしても、最後は団結力が勝つと信じている。
みんなで勝ち取った栄光こそ価値があるのにちがいない。
それをまっこうから否定するやつを認めることは、俺の意地にかけてできなかった。
「俺にはチームの雰囲気なんて二の次だ。誰がどう動くのかを把握してさえおけばいい。あとは俺が決める。そうすれば勝てる」
「自分さえよければいいのか。試合に出てるのはおまえだけじゃないんだぞ」
「勝てる確率はできるだけ高いほうがいいだろ」
「おまえのそういう態度が気に食わないんだよ」
「だったらそうならないだけの力をおまえがつけろよ。のし上がって来い。そうしたら俺だってすこしは自分を見直すし、もっと効率のいい戦略だって立てられる」
そうならないうちは今のスタンスを続けるつもりだ。
じゃないと負ける。
はっきりと弱いと侮辱された気がして言い返そうとしたが、
「それだけは許さねぇ」
有無を言わさぬ口調で、窪川が言った。
「おまえが崩れたら、チームは破綻するって言いたいのか。舐めんなよ」

