匡が目を細めると、白井の顔がいっそう強張った。
図星だったのだろう。
たしかに大口を叩いたといえば、そうだろう。
そして白井は敗れた。
「まあ、完膚なきまでに叩きのめしてやったからな」
白井は目を剥いた。
「でもそれが俺の実力だからな。その実力があればこそ距離を置かれるのも仕方ないと思ってる。だから俺も無理して距離を縮めようとは思わない。それをバカにしてると取られてたんなら、多分そういうことなんだろ。でも、おまえが重んじてるチーム意識だけで頂点に行けるほど学生運動部は甘くない」
「なんだと」
「いくらチームの団結力が強くても、所詮は部活、全体の完成度が低すぎる。結局は個人技がものを言う世界だ。ひとり、突出したやつがいればいい。上に行けば行くほどそういうやつらの巣窟だ。チームプレイより、個人技主体で、チームの中でさえ互いがしのぎを削り合いながら責めてくる。そんなやつらに仲良しこよしが通用するか? そんなのはな、誰からも一目置かれるようなトップ選手が集まったところではじめて活きるもんなんだよ。野球だってそうだろ。甲子園で重要なのは、とどのつまりピッチャーなんだ。あとはまあまあまぐれでもいいから打ってくれるやつがいれば勝てる。そういう仕組みになってんだよ」
匡の弁には不思議と実があり、白井は二の句が継げなかった。

