「ああそうだよ。俺はおまえが嫌いだからな。一匹狼を気取って、いつも周りと距離を置いてるくせに、普段おまえを目の敵にしてるやつが意外とたいしたことないねぇってわかるとそうやって優しいふりをしてますます追い詰めようとする。卑怯で下品なやつだ」
剥き出しの嫌悪に、しかし匡は怒り狂うどころかあきれ果ててものが言えなかった。
「ひどい邪推だな、おい」
首を振る。
ほんと、俺って他人にどんなふうに見られているんだろうと、女子中学生みたいな煩悶にここのところずいぶんと振り回されている。
悪友たちとは自然に意思の疎通ができるのに、ひとたびその他大勢の中に混ざると、たちまち異分子のように孤立しているその不思議。
「俺はただ、大晦日だってのに今にも川に落ちてきそうな顔して突っ立ってるやつがいたから声をかけた、それだけだ。俺がおまえに同情なんかすると思うか? おまえはそんな小奇麗な友情ごときで浮き沈みするようなタイプじゃないだろ」
それにな、と匡は勇気を振り絞ってさらに続けた。
「普段そうやって他のやつらの輪に入って行けない俺が、明日から正月だっていうこう…祭りの前的な、ある種とくべつな感情に気が大きくなってる分、思い切って垣根を低くしてみてもばちは当たらないんじゃないかなー、ぐらいのわがままをするのさえおまえはそんなに不満か?」
「浮かれたくらいで声をかけようと思うこと自体が俺たちを見下してる証拠だろうが」
「……今日の練習試合を気にしてんのか?」

