まだあなたが好きみたい


かといって付き合ってくれそうなやつも取り立てて、いない。

それぞれ恋人ができたとか、高校でできた友達と過ごすとか、中学を出て数ヶ月で仲間の輪から離れたやつもいる。



(吉田の連絡先なんか知らないしな)



知っていたところで、はあ? の一言で切られそうだ。


足は自然とあの線路へと向かっている。

朝と晩の二回、目印を探すのが匡の日課。


土手の下から吹き上げる川風が目に沁みる。

濡れた目に、痛いくらいに星が眩しい。


そのとき、どこからか子供の笑い声が聞こえてきて、匡はふと足を止めた。


そしてにわかに硬直した。


屈託のない笑い声に自らの子供の頃を懐古して、思いがけない感傷に歩みが鈍った。


……ということもあるが、それよりも、前方に、見るからに悄然として不景気そうな知り合いが見えたので、匡は困惑してしまった。



「何してんだ、こんなとこで。たそがれるなら、時間がずれ過ぎだぞ」



土手に佇み、黒々と横たわる川を気のない表情で見下ろしていた白井は、かなり思い切った匡の問いかけをきれいに無視した。



「……。まあ、いいや」



匡は鼻を引っかく。