それに。


吉田のことで、もう同じような迷走はしない、がむしゃらに突き進むだけだと決めた心をほんとうにするためのケジメの一戦でもあった。


その覚悟を示すかのように、匡の双眸はしごく落ち着いたもので、常の血の気の多いそれとはまるでちがう。


うまく力は抜けているのに、そこには侮りがたい鋭さがあって、白井はなかなか思うような隙を見つけられずにいた。


果たして試合は一軍チームの圧勝だった。


そうでなければ困ると監督は厳しい一言を飛ばしたが、それでもどこか嬉しげだったのは、掃除のとき個人的に白井を呼んで声をかけていたことに関係するのだろうか。


試合後、白井は満身創痍で、悔しさの余り今にも泣き出しそうな様子ですらあった。


けれど、今日の二軍の中で一番活躍していたのは彼を置いて他にはない。


白井がいなければ、匡たちチームは三桁得点も夢ではなかったように思う。



一月に開催される、各校の親睦を目的とした県主催の冬季大会、そのスターティングメンバーについて意見を求められた匡たち一軍チームは他の部員よりも若干部室に戻るのが遅かった。


白井はもう帰った後だった。