練習の最後には二軍と一軍の代表による模擬形式の試合が組まれた。


二軍からは一軍行きが決まっている白井と不二先輩、期待の畠を含む五人。

一軍では、かろうじて匡が選ばれた。


不調続きでだいぶと監督の心証を悪くしたに違いないから、信頼を回復する絶好のチャンスだ。


匡のマークには白井がついた。


白井はよく粘り、匡を翻弄した。


が、匡はその数段上を行く。


脚の速さは勝るとも劣らずだが、二軍で身体を慣らすあいだ丁寧にシュートを見直した甲斐あって、今まで以上にボールを放った瞬間の、入る、という手ごたえが飛躍的に増している。


またしても白井を欺いてシュートを決めた。


ボールは鮮やかな弧を描き、あたかも遠隔操作でもしているかのように、リングに触れることなくゴールの中心へ吸い込まれる。


凄まじい気迫と嫌悪の滾る眼差しが呼吸に合わせて上下に見える。

前方を塞ぐ白井のものだ。



「負けるかよ、タコ。この試合でおまえを倒して、気持ちよく正月を迎えるんだ」



白井は本気だ。だが、匡も負けてはいない。



「言っとけよ。俺だってこの勝負にかけてんだ」



一軍に残れるかどうかの瀬戸際なのだから。