「既…婚者…?あな…たと…一緒に?」
「はい。」

きっと先生は私が相手だと思っている。高校生が結婚できるかは分かんないけど。
ちゃんとした説明をしようと思えばできた。でもなぜか出てきた嫉妬心がそれを邪魔した。


キーンコーンカーンコーン ×2


チャイムが昼休みの終わりを告げる。私は食べかけのお弁当をしまい、席をたった。

「面談は終わりですね。失礼します、先生。」

先生は前を見たまま動かない。きっと、チャイムの音も私の声も届いていない。



家庭科室を出た途端、無性にむなしくなった。そして自分がとてもイヤなやつに思えた。
思えた、じゃない。私は最低だ。

一時の優越感を味わうために卑怯な言い方をした。私だって、高田愛桜先生と同じ立場なのに…。