昨日までなら生徒玄関で別れて、バラバラに教室に入っていた。でも今日は違った。
私が靴をはき替え終わるのを待ち、一緒に教室に向かい、一緒にドアをくぐった。

徹くんは何も言わないが、私たちの関係を少しずつ変えようとしているようだ。
それをいいとも嫌だとも私は言えない。


席につくと、なんかホッとした。さすがに教室中がテストオーラに包まれていて、誰も私たちのことを見ていなかった。
でも、その静寂を破った2人組がいた。


「また放課後な、ありさ」
「うん、またね~!あっき~!」


開け放った教室のドアから聞こえてきた大きな会話に、クラスの視線がいっせいに集まった。