ぼぉーっと海を眺めながら、海沿いを歩く。砂浜では、小さな子供とおっきな犬がきゃっきゃとじゃれている。反対側では、女性と男性が肩を寄せて、座っている。流石に九月になると泳ぐ人はいないようだ。海沿いから小さな路地に入ると、急に静かになる。時々通る風は、ビルの寝息のようにも聞こえる。私の鞄のキーホルダーのぶつかり合う音が、やけに大きく聞こえる。なんだか、空間の世界に来たかのように感じる。意外にこのバイトへの道のりは、毎日の私の楽しみである。