ある日、この時、この場所で。醜く歪んで堕ちてゆく。

ッ……
振り返ると、……

逃げようとした私の腕を
咄嗟に掴む、

男の手…。


「逃げるな……。下を向くな…。顔を上げろ。…」



少し怒ったように。
だけど、何かを押し殺すように
発する、

震える声。…




ッ…?!
目を開いて見上げた先には
男の顔がもう、
数センチに迫っていて…。
そのまま



生暖かい物が私の肌に触れた…。



?!!!!ッ…ッ…!!!!!






「ンッ…ンゥ……、ゥッ…ンアァ、…!」





な、なに?!
なに?!………っ




わたしの口から漏れる声は聞いたこともないような音だった。





「ンッ…、ン、ン、ッハ、ァッ、……ハァッハァ
…!!!」




「な、にするん、
…ですか…っ!ハァ、ハァッ……」





途切れ途切れにしか出せない声に男は微笑む。





「ハハ、…初めて出来た。…お前と…

………キス………。」



そう言った男の顔は目が全く笑っていなかった。




「わ、私たち、…兄妹じゃないんですかっ?!」




「…兄妹なんかで、っ、そ、そんなことっ…!」




フフフ、と笑ったかと思えば
また男は口元を歪ませる。