待ってるだけじゃ変わらない




帰り道、友達と別れたあたしは一人で思い出に浸る。



もう、この道をこの制服を着て歩くことはない。


ぶかぶかで制服に着られてる感じがあったあの頃とは違う。


今は着慣れたものへと変わった。



この道を歩く時、いつも期待してた。


キミも同じ道を通るから、一緒に帰れるかもって。



ほら、今だって心のどこかで期待してる。



その期待が現実になったことなんて一度もないのにね。



あたしはいつだって受け身だった。


話しかけてくれるのを待っていた。


だけどそれじゃいけなかったの。


今更気付いたって遅いか。




こうしてあたしが感傷に浸っていたとき。


信じられない人の声が聞こえた。




「なつ。」