お互い刀を握りあったまま動かず、相手の動きを探っている。



しかしそれも長くは続かない。



二人同時に床を蹴ると凄まじい戦いが始まった。 




ガッキン



「お、まえ....やはり...強いな。」



「鴨ニイ、もね!」



芹沢の力に押し負けそうになり、一旦離れて距離を保とうとしたが少しの時間も与えまいと芹沢が距離を詰めてくる。



しかしそれも琴音には予想済みだ。




ガキンッ ガキンッ ガキンッ



「なん、で鴨ニイ達はっ、死に急ぐのよ!」




「死に急いでいるわけでは、ない!儂らしく生きていただけだ!儂らしく生きて何が悪い!」



「違うでしょ!何が儂らしくよ!鴨ニイは本当は優しいからっ、大和屋に火を放った時だって嫌々だったんじゃないの!?全部浪士組の為にやってきた事なんでしょう!?」




「ふんっ、笑わせるな!琴音、これで終わりだぁ!」




鴨ニイは私めがけて刀を振りおろしたが私は寸前でしゃがみこみ、鴨ニイの心臓に刀を突き刺した。


「....琴音....っ........よく....やった....。ろ....ぅ....しぐみ....を........頼んだ....ぞ....。ありが....と....。」



「かも....にい........おつか....れさま....。今まで....ありがとう........。」




私がそう言うと鴨ニイはふっと笑い目を閉じた。




その時、ちょうど厠へ行っていた梅が戻ってきた。



「っ!?今日....やったの....?」



「梅ネエ、ごめんね....。」




私が刀を振り下ろす寸前で梅ネエは私に笑いながら"ありがとう"と言っていた。