「あ...」

私は鈴原水樹に視線を戻した。鈴原水樹は何かを確信したように頷き、私達の横を通りすぎ、教室に戻っていった。

「何の話してたの?」

麻友が興味ありげに尋ねた。私は苦笑いだけして教室に戻った。


やっぱりあいつにはトーンが見えてる。俺は確信した。教室に戻ると俺の机は人でいっぱいだった。これでは座れない。

「水樹」

ドアの前に立ち尽くしていた俺を誰かが呼んだ。振り返らなくても、誰だかわかるけど。

「何の用だ」

「まさか、調べて来るのを忘れた...なんて言わないよな?」

俺は目を閉じた。