夕方、サツキは約束通り勉強道具を持ってあたしの部屋に来た。




ドアを開け、ドアの向こう側にいるサツキを迎える。


あたしの部屋に入るなり、サツキはあたしのことをキュッっと抱きしめた。

あのときからすっかり大きくなったさつきはゆうにあたしの身長を越していた。




「…サツキ?」




「俺、アカリと同じ高校に行きたいんだ。合格したら、俺と付き合って?」




「なにそれ、何年上をからかってるの?」




「年下だからって舐めんなよ。ずっとアカリのことが好きだった」




あたしも好きだった、なんて可愛いことはあたしには言えない。




「春になったらもう一回言うから。だから予約させて?」




サツキの顔が近づいてきたと思ったらキスされてた。




展開が早すぎて、何がなんだかわからない。


あのサツキがあたしにキス?

あの女々しいサツキが?ありえない…。




いつの間にかあたしが守るのも必要じゃなくなったサツキが目の前にいることに少し動揺した。

サツキの胸を押して距離をとる。




「ごめん、気持ち整理させて?だから今日の勉強会はナシで」




あたしは大切なサツキを突き放してしまった…。