スッと進が両手に力を入れたかと思うと,次の瞬間には。 「…」 目の前には進の瞳。 信じられなかった。 私,今,キスされてる…? リップ音を立てて進の唇が離れていく。 「好きだよ,奈々」 「…っ///」 「返事は,まあ,今じゃなくてもいいや」 「…ぇ,あ,うん」 『まもなくロンドン行きY-65便が離陸致します。ご搭乗の方は…』 「あ…」 空港のアナウンスが流れ,人がぞろぞろと動き始める。