達矢side


カチカチカチ。


静かな部屋に響くタイピングの音。


『全部知ってたんだ』


余裕そうににやつくあいつの顔がこびりついて離れない。


『あの綺麗な男がお兄さんだってことも,あのブロンド君と何にもないことも』


『でもね,知らなくてもいい過去もあるしね』


『どろどろした過去なんて』


『潰したいもんだよ』


あいつは時々,悲しげな表情を浮かべる。


そのときもそうだった。


じゃあなんでお前は。