君との物語

「暇だ…」
お昼になる 少し前のころ わたしは自分の部屋でつぶやいた。

今日は春休みを締めくくる土日の土曜日。
部活は休みだから いろんな人に誘われたけど 家でゆっくりしたかったから 断った。
でも そんなに眠れるわけもなく 今 私はとっても暇なのだ。

「やっぱり ママとショッピング行こっと」
ママのところに行くと
「あ、まな ちょうどよかった!今ね 昨日言ってた大原さん家が到着したのよ。」
「まぢ!?」
やばぃ 早く 転校生見たいんですけど。

「それでね 引越しの手伝いにママ行ってくるからお留守番よろしく」
え!?私に大人しくお留守番してろと⁉︎
そんなの ぜったいヤダ!!

「ママ!まなも手伝い行く!」
「あら珍しい。あんたが手伝いに行くなんて。しかも自分から。明日 雪でも降るんじゃないかしら。」

待って待って。実の子に対して失礼すぎだろこのオバハン。

「べつに… そんな時もあるょ! ねぇ 早く行こう!!」
まぁ 今はそんなことより転校生だ。

「こんにちはー」とママが言う。
そしたら 夫婦らしい2人がヒョコッと顔を出した。
「あ、どうもどうも。 大原と申します。これから よろしくお願いします。」
「隣の家の宮本です。こちらこそよろしくお願いします。」
「よろしくです。」
ママに続いて私もちょっと挨拶する。

「あれ もしかして まなかちゃんじゃない?」
奥さん、なんで私の名前知ってんの⁉︎

「そうですが…」
「やっぱり! いや この前ね 息子を転校先の学校に連れて行ったときに 学年主任の先生が うちの隣の家の娘さんが 息子と同い年って教えてくれたのょ。 名前もそのときに教えてくれたの」

あ、なるほど。
ちなみに学年主任は私のクラスの担任の戸田。
まぁ 私の名前とか言ってそうだもんな。

「そうなんですか…」

「うちの息子 春休み終わってから学校に行くからいろいろよろしくね」
「春休み終わったらすぐ来るんですね」
「えぇ そうなの。あ、もうすぐ来ると思うわ」
「おかあー これどこに置いたらいい?」
「ちょっと たくみ! さきにこっちにきてちょうだい!」
「なんなやー」

玄関から男子が出てきた。
え。かっこいい…
こんなかっこいいとかやばっ!
おしゃれだし かっこいいし!
こんな人 転校早々 モテまくるんだろーな。

「この子 この前 戸田先生が言ってた、あんたと同じ学年の隣の家の子よ 」
「へー!俺 大原 拓也。よろしくな」

大原 拓也… かっこいい。

「よ、よろしく…」

私はぎこちない笑顔で返した。

これが 君との恋の 全ての始まりだった。