「…本当にすみません。仕事中なのに」 「…もう閉める。後片付けぐらいはできんだろ」 濡れたフキンを私に手渡すと、真さんはキッチンの奥へ消えていった。 ばかばかばか。大ばか者。仕事に集中しなくちゃいけないのに! これじゃ真さんに呆れられても当然だ。せっかく雇ってもらったのにこの接客態度じゃ私最低すぎる。 自分の馬鹿さ加減に呆れながら、もらったフキンを持ち直し、一つずつテーブルを掃除していく。 後片付けぐらいはきちんとやらなければ。自分に盛大な喝を入れて最後の仕事に没頭した。