溶ける温度 - Rebirth -


「もういい。お前、先にあがれ」

「すみません!ぼーっとしてて、あの、ちゃんとできますから!まだ営業時間あるし!」

「今、何時だと思ってる」

「…え?さっき確認したときは19時半すぎで…」


柱にかかっていた時計の針は、なんと、23時を回ろうとしていた。

となりで盛大なため息が聞こえる。
良く見渡せば、お客さんも人っ子一人いない。
うそ…。さっきまで常連さんのファミリーと、ご新規の若いカップルがカウンターに座っていたはずなのに!


「言い訳は聞いてやるぞ」