絶対そういう反応されるから言いたくなかったんだって!
私は心の中でそう抗議したかったけれど、火に油を注ぐようなのでやめた。
責め立てられているような沈黙。店内に置いてある置時計のカチカチという音が余計に大きく響いて聞こえる。
真さんに向けて悪いことをしているわけではないけれど、どこか居づらい雰囲気が張り詰める。私は気まずさを紛らわすために淹れてもらった紅茶に口をつけた。まだ温かい。
「…ごめんなさい。黙ってたわけじゃないけど、心配かけさせたくなくて。それに契約更新しなかったのは私の甘さだから仕方ないとも思っているし」
紅茶をテーブルに置いて、ため息をついたままその次の言葉を発しない真さんに投げかける。
テーブルに肘をついて何かを思案するような彼に、更に会話を続ける。
「でも、大丈夫よ。逆に言えば、ようやく派遣じゃなくて正社員での道を探すきっかけになったわけだし。よかったのかも」
つとめて明るいトーンで朗らかに笑うと、真さんはそこで突然視線を私に合わせた。
