溶ける温度 - Rebirth -


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一週間前に美弥と飲みに行ったきり、さほど久しぶりでもない真さんとの路上での出会いは。
夜の仕込みに使う食材を買いに出かけていたらしい偶然で、達成された。

こんなところで立ち話はなんだから、とお互い目的地を言いあえば、私は最寄りのカフェ、真さんは買い物を終え帰宅するところだったらしい。

なので、そのままアヴァンシィにお邪魔させてもらうことにした。


「どーぞ。まだおやつの時間だから、酒はだせねぇけど」

「ありがとう。十分嬉しい」


ぶっきらぼうな口調におやつの時間という言葉が何ともミスマッチで笑っちゃいそうになったけれど。
紅茶と一緒に出された数種類のナッツが大変おいしそうなので、機嫌を損ねさせないように笑いは口の中で抑えた。