なんで?そう聞くことは、おそらく簡単だったと思う。
でも私はやはり愚かな女だった。
『……満(みつる)さんが決めたことなんでしょう』
『………』
『…わかりました。今まで、ありがとうございました』
『……明季、もう一度お互い話し合う必要があるだろう。それは明季のためにも、』
『さようなら』
そのままの勢いで通話を切った。
手に残った携帯電話の画面には通話時間59秒と表示されている。
交際期間は半年という短い期間だったかもしれないけれど。結婚まで考えた彼との別れはたった1分で終わってしまうのか、漠然とそう思った。
