あの日のことを思い出していたら、車はすでに私の帰路の半分以上通過していた。 いけない!またぼーっとしちゃってた! 見上げた私の視線に気づいた真さんは、考え事は終わったか、と静かに問う。 「…えっと。…具体的に何があったかは、その、……」 「大志だろ」 「…え!」 まさに私の心のもやもやの中心にいるその彼の名前がずばっと言い当てられ、思わず驚いた声をあげてしまった。 「…悪いな。あいつから話聞かされてた」