溶ける温度 - Rebirth -


今日私が集中できなかった理由は、言わずもがな、大志さんとの一件が絡んでいる。

あの日、本気で狩りに行く宣言をしてきた大志さんとどうなったかというと。
急激な進展具合に沸騰しそうな頭の中を察知してくれたのか、あれ以上の追撃はよしてくれた。

そして、私がお手洗いにたったときを見計らってお会計を済ますというなんともスマートな行動をしてくれて。
またお越しくださいませ、という店員の落ち着いた声に見送られ、二人でお店を出たのだ。


『お会計、払います』

『いいよいいよ。俺にかっこつけさせてよ』

『…はい。ごちそうさまでした』


ぺこりと腰を折ってお礼を伝える。
大志さんはそんな私を見て、にこりと笑った。