溶ける温度 - Rebirth -


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後片付けもすべて終わり、まかないを食べ終えた後。
外へ出るといつかの日のように雨が道路を濡らしていた。

普段は電車でアヴァンシィまで出勤しているけれど、こんな日はいつも真さんが自宅まで送ってくれるのだ。


「混乱してます、って顔だな」


真さんが先に駐車場へ向かいエンジンをかけていてくれたので、私が車に乗り込むころにはちょうど車内が適温になっていて。
高級そうな革張りのシートを傷つけないように慎重に座り、シートベルトに手をかけた時。真さんの口が開いた。

知り合ってから一緒にいた時間が長かったせいか、私の感情の一つ一つに敏感な真さんは。
最近の私の仕事ぶりを総括的に考えて、この結論に至ったらしい。