午後から検査か…
まあでも、金属バットで殴られたから仕方がないか。
病室に戻りベッドに腰を下ろすと、さっきの話を思い出し、全身が冷たくなった。
私のせいで、無関係な人が死んでしまったという事実は、拭い去る事は出来ない。
でもこうなると、記憶を失っている事がせめてもの救いだ。罪の意識はあるものの、実感は無い。
私はベッドに倒れ込んで、携帯電話をテレビ台の引き出しに入れた。
「円城 麻弥…か」
やっと、自分の名前を取り戻した。名前が分かれば、もっと々な事が分かるに違いない。
でも…
なぜ私は、自分の身元が分かるような物を1つも持っていなかったのだろう?
財布はカードすから入っていなかったし、携帯電話にもデータが全く無かった。
一体なぜ――
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