「まあ、また何か分かったら連絡するから。君も何か変わった事があったら、また教えてね」
ライターは何か考えていたが、それ以上は何も言わずに立ち上がった。
そして背を向けると、ブツブツと独り言を呟きながら玄関へと歩いて行った。
私もその後ろ姿を途中まで見送ると、病棟に戻った。
ただでさえ昨日の事で注目されているのに、長時間病室を空けている訳にはいかない。
私は受け取った携帯電話をしっかりと握り締めると、階段を使って病棟に戻った。
しかし、案の定ナースセンターの前で看護師長に呼び止められた。
「こんな時に一体どこに行っていたの!!
頭を打っているんだから、出歩いては駄目よ」
「は、はい…」
私が謝って病室に入ろうとすると、背後からもう一度呼び止められた。
「あ、待って。
念のため、今日の午後MRIを受ける様にしておいたから、忘れないでね」
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