ライターは話を聞き終えると、暫く顎に手を当てて考えていたが、独り言の様に呟いた。
「…――これは、飛び降り自殺ではないよな。自殺というよりは、殺人事件なんじゃないか?」
「え…?」
「いや、状況的を判断すると、どう考えても彼が自殺するとは思えない。
それに――」
「それに?」
ライターはそこまで喋ると少し黙り込み、確証はないがと前置きして話始めた。
「多分、幽霊騒ぎの幽霊というのは、実は人間で何らかの目的があって非常口から入ってきてたんじゃないかな?
だから、それを邪魔しようとした彼を自殺に見せかけて、屋上から投げ落とした…」
その話はもっともらしかったが、1つ重要な事を見落としていた。
「でも、その男性は身長が180センチ程のスポーツマン体型で、とても普通の人に運べる様な体格の人ではなかったですよ?」
「そうか違うのか…」
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