ミ ガ ワ リ


分からない…
記憶を取り戻し、自分で探すしかない。

私は被害者に対する懺悔の念と同時に、一時的にでも罪から逃れた事に対し安堵する様な、相反する思いが共存する複雑な心境になった。


私が肩を落として床を見詰めていると、ライターが申し訳なさそうに声を掛けてきた。

「こんな時に悪いけど、約束だから入院患者の飛び降り自殺について話してくれるかな?」


そうだった。
私はあの事を話す代わりに、携帯電話を直してもらったんだ。

思い出したくもないが、約束だから話すしかない…


「分かりました。
私が知っている事を、全て話しましょう…」

私は入院患者達がここで話をしていた事から、幽霊の噂話、そして当日の夜の事まで知っている事を全て話した。


いや本当は、誰かに聞いてもらいたかったのかも知れない。

1人で背負い続けるには、余りにも重かったのだ…


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