「ど、どうしたの、その包帯は!?」
ライターは後ろに仰け反る程驚いて、私に尋ねた。
「ええ…まあ、話せば長くなるので。
それはそうと、携帯電話は開けたんですか?」
ライターはポケットから携帯電話を取り出すと、私に手渡した。
「データは見てないけど、依頼した店に聞いたところでは、暗証番号を1111に変更したと言ってたよ。
それと…
この携帯電話の契約者は、円城 麻弥。おそらく君の名前だ」
「円城 麻弥…
私の名前は、円城 麻弥」
自分の名前をようやく手に入れたが、当然の様に私には全く実感はなかった。
それでも、自分の名前が分かったという事は住んでいる所が…
全てが分かる。
私は何か手掛かりになるデータがないかと、渡された携帯電話を開いた。
しかしそこに、私が期待した物は何もなかった…
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